正統派SFによるリアリティ暴力「プロジェクト・ヘイル・メアリー」

 

僕は理系と文系の間みたいな性質をしてるけど、いちおう理系の学部を卒業しています。

そのせいもあって頭の中に、いろいろな科学知識を詰め込まれています。

とはいえ、学部卒だし人に自慢できるほどではないのだけれど。

そして別にどこか研究所に就職したわけでもないので、ふだん科学知識はたいしてつかってません。

顕微鏡なんてしばらく手も触れていないし、細胞を見たのなんて何十年前だろう。

相対性理論にウラシマ効果も知ってはいるけど、もちろん使うことなんてないよね。

 

子ども科学を購読してたくらいなので、科学自体は好きだし、へたくそな電子工作にチャレンジしてはドキドキワクワクしていたものです。

 

でも、大人になると大して使わないもんです。

こんな知識。

せっかくいろいろ知ったのに、それを使わないと頭の中で腐っていくような焦燥感に襲われたりもします。

 

そんな焦燥感を吹き飛ばし、科学する心を大いに刺激してくれる体験がここにありました。

それが、この小説。

 

プロジェクト・ヘイル・メアリー

 

です。

 

評判のよさは知れ渡っているので、あらためて紹介するのは不要かもしれませんが、せっかくこの作品を読んだので、1ブロガーとして書かねばなりません。

 

この小説は面白い。

 

お話自体は正当派。

事前知識なしで読めという主張がX上で出回っていたので警戒していましたが、「特大のどんでん返しがある」とかではないので、ネタバレ食らっても十分に楽しめると思います。

 

ただ、何が起こっているかじわじわと分かっていく感覚を体験するためにも、事前知識なしで読むほうが、たしかにおすすめ。

 

全編フィクションのはずなのですが、科学知識に裏付けられた確かな描写力によって、状況や光景が圧倒的なリアリティで描かれていくのです。

 

これは正統派SFによるリアリティ暴力や!

 

これの前に読んだSFが草野原々作品だったので、キワモノで切り付けられたあとに、正統派でぶんなぐられた気分になりました。

 

宇宙がメインの話ですが、物理学に飽き足らず、生物学や工学的なお話もしょっちゅう登場するので、この小説をグルメ番組ふうに表現すると、

 

科学ロマンの宝石箱や!!

 

といったところでしょう。

 

問題は科学の話が多すぎて、相対性理論どころか物理学すら危うい人だと楽しめるかわからないというところ!

 

たとえば、うちの家族とか!

 

娘は星とか宇宙好きだから、この話を楽しんでもらいたいんだけど……

 

まてよ……映画ならいけるんじゃない?

映画は文字と違って科学の蘊蓄を伝えづらいので、そのあたりは期待しづらいですが、宇宙のロマンを映像という別の形で、表現してくれているはずです。

家族で楽しむならこっちだな!(まだ見てないけど)

 

あとこの作品、ストーリーテリングが本当に巧みです。

この手際を自分も参考にしたいと心から思いました。

本当にすばらしい作品です。

アンディ・ウィアーさんの他の作品も読んでみたいと思いました。

(あ、その前に三体読まないと……)

 

 

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